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2024年11月15日(金)
器官・統合生理学講座 博士課程2年 阿部 史葉さんが東北生理談話会第56回大会において、学生口頭発表「学生優秀賞」を受賞しました。
論文タイトル
漢方薬「芍薬甘草湯」の心筋保護作用とその作用機序の解明
著者名
阿部 史葉,田頭 秀章,沼田 朋大
研究等概要
東北生理談話会第56回大会(日本生理学会東北地区大会)において、本学博士課程2年生、阿部史葉さんが学生口頭発表「学生優秀賞」を受賞しました。社会人博士後期課程として社会人の仕事と研究を両立して研究を推し進めることで、「漢方薬「芍薬甘草湯」の心筋保護作用とその作用機序の解明」というタイトルで口頭発表を行い、研究内容、プレゼンテーション、質疑応答の内容が総合的に評価され、受賞に至りました。
本研究では、心肥大を抑制する漢方薬を肥大心筋に作用させた際の細胞容積測定をすることにより、見出しました。
1. 研究グループ(阿部さん(博士2年生)、田頭准教授、沼田教授)は、芍薬甘草湯が心筋細胞で心肥大を抑制することを見つけました。
2. 阻害剤を用いることにより心肥大への芍薬甘草湯の効果はL型カルシウムチャネルの抑制が関係することが分かりました。
3. これらの抑制効果によって、心肥大時の細胞内カルシウムや活性酸素の異常状態の改善をすることも明らかにされました。
これまで経験的に用いられてきた漢方薬に科学的で客観的な証拠を示すことは、より多くの治療・予防に寄与するものとして期待されます。さらに今回の研究成果から、心肥大の抑制効果を示す芍薬甘草湯は、心不全薬のシーズとして治療薬開発に期待できます。標的分子を見つけることで分子機能解析結果を基とした創薬の開発が期待されます。