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2023年05月11日(木)

病理部 小山 慧 医員が第112回日本病理学会総会において『日本病理学会100周年記念病理学研究新人賞』を受賞しました。

研究等概要

第112回日本病理学会総会(2023年4月13日~15日)において日本病理学会100周年記念病理学研究新人賞2次審査会が行われ、2次審査に選出された6名が口演を行った。病理部小山慧医員(器官病態学講座)は「正常卵管に存在するβ-catenin異常細胞集塊"β-catenin signature"」と題した発表を行い、3名の受賞者のうちの1人に選ばれた。

病理学研究新人賞は、医師・歯科医師で33歳以下の病理学関連講座大学院博士課程在籍者を対象とし、優れた研究を行った者に贈られる賞である。

学術誌「Histopathology」に掲載された研究(Koyama K, Maeda D, Kito M, Tamura D, Kudo-Asabe Y, Katoh H, Ishikawa S, Nanjo H, Terada Y, Goto A. Clinicopathological and molecular analyses of linearly expanded epithelial cells with β-catenin alterations, ""β-catenin signature"", in the normal fallopian tube. Histopathology. 2020 Dec;77(6):880-889. )に関して追加検討を行い、発表および質疑応答を行った。

形態学的に異常のない卵管上皮でβ-catenin異常細胞のclonalな増殖が起こっていることを確認し、その現象を「β-catenin signature」と定義し臨床病理学的な解析を行った。この検討で腫瘍性病変との関連は明らかとならず、β-catenin signatureは前がん状態にあるゲノム異常細胞ではなく、一般集団にみられる、自然に消退してゆく現象をみていると考察した。この結果は、近年NGSを用いた解析で報告されている、種々の組織におけるゲノム異常細胞のclonal expansionを病理組織学的に裏付けるものであり、そのメカニズムを解明することで新たながん治療や、がん予防法の開発につながることが期待される。

参考URL

https://www.pathology.or.jp/jigyou/rookie-award-230414.html

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