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2026年10月30日(金)
器官・統合生理学講座 沼田朋大教授、渡邊博之教授らが著者となる学術論文が国際誌『Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology』に掲載されました
論文タイトル
Panax ginseng suppresses endothelin-1-induced cardiomyocyte hypertrophy through inhibition of the local angiotensin II–AT1 receptor signaling axis
著者名
沼田朋大、田頭秀章、佐藤かお理、髙山遼、青山碧人、酒井彩子、Tran Nam Ha、渡邊博之
掲載誌
Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology
研究等概要
秋田大学大学院医学系研究科の沼田朋大(ぬまた・ともひろ)教授、渡邊博之(わたなべ・ひろゆき)教授らの研究グループは、古くから漢方薬などに用いられてきた生薬「高麗人参(Panax ginseng)」が、心不全の発症や進行に関わる心筋細胞の異常な肥大を抑える作用メカニズムについて研究を行いました。
その結果、心筋細胞を肥大させるエンドセリン1(ET-1)が、心筋細胞の近傍でアンジオテンシンII(Ang II)の産生を促進し、その受容体であるAT1受容体を介して心筋肥大を引き起こすことを明らかにしました。さらに、高麗人参が、①ET-1による心筋細胞の肥大を抑制すること、②ET-1による細胞内カルシウム濃度の上昇を抑えること、③心筋細胞から放出されるAng IIを減少させること、④Ang IIのAT1受容体を介した心筋肥大シグナルを抑制することを明らかにしました。
本研究は、これまで心筋肥大を引き起こす因子として知られてきたET-1とAng IIをつなぐ局所的なシグナル伝達機構を示すとともに、高麗人参がAng IIの産生と受容体下流のシグナル伝達という複数の段階に作用し、心筋肥大を抑制する新たな分子メカニズムを明らかにしたものです。
高麗人参は古くから滋養強壮などを目的として用いられ、さまざまな漢方薬にも配合されていますが、その心筋保護作用の分子メカニズムには未解明な点が多く残されていました。今回の成果は、経験的に用いられてきた生薬の作用に新たな科学的根拠を与えるものであり、心筋肥大や心不全に対する新たな予防・治療戦略の開発につながることが期待されます。
なお、本研究は基礎研究による成果であり、高麗人参の摂取によって心不全を予防・治療できることを直接示したものではありません。
本研究は、秋田大学の基礎医学・臨床医学の研究者、医学部学生、ベトナム・フエ大学の研究者による国際共同研究として実施されました。
この研究成果をまとめた論文「Panax ginseng suppresses endothelin-1-induced cardiomyocyte hypertrophy through inhibition of the local angiotensin II–AT1 receptor signaling axis(高麗人参は局所アンジオテンシンII–AT1受容体シグナル軸を抑制することで、エンドセリン1による心筋細胞肥大を抑える)」は、2026年10月20日に国際学術誌『Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology』(査読あり)のオンライン版に掲載されました。


