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2026年10月06日(火)

薬理学講座 前田 深春 講師が筆頭著者、齋藤 康太 教授が責任著者となる学術論文が国際誌『Matrix Biology』に掲載されました

論文タイトル

TANGO1L Is Required for Collagen Secretion in a Type-Dependent Manner and Shapes Collagen Proteostasis in the Endoplasmic Reticulum

著者名

Yoshihiro Ishikawa, Miharu Maeda, Yuki Taga, Yukie Komatsu, Kazunori Mizuno and Kota Saito

掲載誌

Matrix Biology

研究等概要

秋田大学大学院医学系研究科薬理学講座、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)、ニッピバイオマトリックス研究所による国際共同研究の成果が、Matrix Biology誌に掲載されました。本論文の筆頭著者は同講座の前田深春講師とUCSFの石川善弘博士、責任著者は石川博士と同講座の齋藤康太教授です。

コラーゲンは体内で最も豊富な細胞外マトリックスタンパク質であり、小胞体で合成・修飾・品質管理を受けた後、小胞体出口部位(ERES)から細胞外へ分泌されます。研究グループはこれまでに、ERESに局在するTANGO1Lがコラーゲンの積み荷受容体として働くことを明らかにしてきましたが、ヒトに28種類存在するコラーゲンのすべてに等しく必要かは不明でした。本研究では、CRISPR/Cas9法によりヒト線維芽細胞のTANGO1Lを欠損させ、分泌・細胞内動態・生化学的性質を体系的に解析しました。その結果、主要なコラーゲンの分泌が広く低下する一方、細胞内の応答は種類ごとに大きく異なり、V型のみが細胞内に蓄積し、I型・III型・IV型は蓄積を回避することを見出しました。この違いはコラーゲン遺伝子の発現低下と小胞体内の生合成装置の選択的な再編を伴っており、細胞が合成量を低下した分泌能に見合うよう調節していることを示しています。さらに、短いアイソフォームTANGO1Sが転写後の機構で増加し、ERESの構造が維持されていました。本成果はMatrix Biology誌にオープンアクセス論文として公表されました。

本研究の特色は、分泌されたコラーゲンを実際に精製し、翻訳後修飾・三重らせん構造・熱安定性まで生化学的に評価した点にあります。その結果、TANGO1Lの欠損は分泌されるコラーゲンの「量」を大きく損なう一方で、「質」はほぼ保たれることが明らかになりました。また、TANGO1Lの必要性がコラーゲンの種類によって異なることを初めて体系的に示しました。さらに、マウス個体では重篤な細胞内蓄積が生じるのに対し培養細胞では症状が軽い、という従来の矛盾について、細胞が合成量を分泌能に合わせて下げられるかどうかの違いによる、という新たな説明の枠組みを提示しました。発生期の骨や軟骨の細胞は分化プログラムによって大量のコラーゲン産生が求められるため、この調節ができないと考えられます。MIA3/TANGO1の変異はヒトで骨の石灰化不全や歯・軟骨の形成異常、結合組織疾患を引き起こすことが報告されており、本成果はこれら難治性疾患の病態理解に基礎的な知見を与えます。骨形成不全症をはじめとするコラーゲン病全般や、線維症・創傷治癒の理解にもつながることが期待されます。

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参考URL

https://doi.org/10.1016/j.matbio.2026.102052

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