ニュース

2026年06月26日(金)

衛生学公衆衛生学講座の野村恭子教授が代表を務める全国健康保険協会(協会けんぽ)研究班で、清水紀翔医師(現、慶応義塾大学附属病院)が学部6年次の時に執筆した働く女性における更年期障害の受療率と併存症、処方実態に関する記述研究の結果が原著論文として「Maturitas」誌に掲載されました

論文タイトル

Consultation rates, comorbidities, and prescriptions for menopausal disorders among Japanese working women: a descriptive study using a nationwide administrative insurance claims database(働く女性における更年期障害による受療率と併存症,処方実態:大規模診療報酬請求データベースを用いた記述的研究)

著者名

Kisho Shimizu, Kengo Nagashima, Masahiro Iwakura, Motoyuki Nakao, Shinichi Tanihara, Makoto Okawara, Yoshihisa Fujino, Songee Jung, Takumi Kimura, Masakazu Terauchi, Kyoko Nomura(清水紀翔, 長島健悟, 岩倉正浩, 中尾元幸, 谷原真一, 大河原眞, 藤野善久, 鄭松伊,木村匠, 寺内公一, 野村恭子)

掲載誌

Maturitas

研究等概要

秋田大学(学長:南谷佳弘)大学院医学系研究科衛生学・公衆衛生学講座 野村 恭子 教授が代表を務める全国健康保険協会(協会けんぽ)研究班は、慶應義塾大学病院臨床研究推進センター生物統計部門 長島 健悟 特任准教授、久留米大学医学部公衆衛生学講座 谷原 真一 教授、東京科学大学大学院医歯学総合研究科茨城県地域産科婦人科学講座 寺内 公一 教授、産業医科大学産業生態科学研究所 藤野 善久 教授、産業医科大学医学部 公衆衛生学教室 大河原 眞 准教授との共同研究で、被保険者として働く女性において、医療機関で更年期障害の診断を受けた人は2016年から2022年にかけて約1.4倍に増えていることを明らかにしました。

また、更年期障害の診断を受けた女性の中で、約58%が1つ以上の併存症を有しており、その中でも睡眠障害と高血圧が多いことが分かりました。さらに、更年期障害の診断を受けた女性の中で、約75%が何らかの医薬品の処方を受けており、漢方が最も処方数が多く、次いでホルモン補充療法に関連する医薬品の処方が多い状況でした。

本研究で診療報酬請求データの診断名から推定された受診率は、先行研究でアンケート調査などを用いて推定された更年期障害の有病率と比較して極めて低く、更年期の症状を有していても医療機関を受診しておらず、適切な治療を受けられていない女性が多く存在する可能性が示されました。また、併存症も多岐に渡るため、包括的なケアの実施が必要と考えられます。

ただし、本研究は診療報酬請求データを用いた研究であるため、更年期障害の重症度などを考慮できていないという限界点があります。また、対象は主に小規模から中規模の事業所に務めていた女性であったため、被扶養者や大規模な事業所に勤める女性、国民健康保険の被保険者の女性に結果が当てはまるかは不明です。よって、今後は様々なバックグラウンドの女性を対象に、更年期障害の重症度を考慮した受療率や併存症、処方実態の調査や、受療行動の有無に関連する要因の検証が望まれます。

掲載論文:Shimizu K, Nagashima K, Iwakura M, Nakao M, Tanihara S, Okawara M, Fujino Y, Jung S, Kimura T, Terauchi M, Nomura K. Consultation rates, comorbidities, and prescriptions for menopausal disorders among Japanese working women: a descriptive study using a nationwide administrative insurance claims database. Maturitas. 2026;209:108955. doi: 10.1016/j.maturitas.2026.108955.

参考URL

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0378512226001325

参考画像