研究成果公表

2025年03月21日(金)

精神科学講座 竹島 正浩 准教授が共同第一著者かつ連絡著者の学術論文が国際誌『Psychiatry and Clinical Neurosciences』に掲載されました

論文タイトル

不眠症状を伴ううつ病に対する各クラスの睡眠薬の有効性と安全性:系統的レビュー・メタ解析

著者名

丸木拓1,竹島正浩2,吉沢和久2,前田優那1,大塚直亮3,青木裕見4,内海智博5,松井健太郎6,田近亜蘭7,高江洲義和1,3

掲載誌

Psychiatry and Clinical Neurosciences

研究等概要

不眠症状はうつ病の患者に高率に認められます.不眠症状を伴ううつ病は不眠症状を伴わないうつ病と比べて,より重症で,抗うつ薬への反応が得られにくいため,不眠症状を伴ううつ病に対する治療の開発が求められていました.抗うつ薬と睡眠薬の併用療法は不眠症状を伴ううつ病の治療候補の1つですが,これまでその有効性と安全性は系統的に調査されていませんでした.

秋田大学精神科学講座の竹島正浩准教授と杏林大学の丸木拓助教らの研究グループは不眠症状を伴ううつ病に対する各クラスの睡眠薬の有効性と安全性を調査するため,系統的レビューとメタ解析を行いました.

その結果, 8研究が同定され,うち1研究がベンゾジアゼピン系睡眠薬,6研究がZ-drugの研究,1研究がメラトニン受容体作動薬の研究でした.メタ解析の結果,抗うつ薬とZ-drugの併用療法は抗うつ薬単剤療法と比べ,12週以内の短期における抑うつ症状の寛解率,抑うつ症状の反応率,抑うつ症状の改善度,不眠症状の改善度が有意に高く,すべての理由による脱落や有害事象による脱落,重篤な有害事象,めまい以外の個々の有害事象に有意差はありませんでした.めまいについては併用療法は単剤療法をより有意に多いという結果でした.Z-drug以外のクラスの睡眠薬を調査した研究はすべて1研究以下であったため,メタ解析を実施することができませんでした.

 本研究は不眠症状を伴ううつ病に対し,抗うつ薬とZ-drugの有用性を示唆しました.しかしながら,本メタ解析に含まれた研究のほとんどは短期試験であるため,長期使用における抗うつ薬とZ-drugの併用療法の有用性は不明です.また,本研究により安全性の高い新規睡眠薬と抗うつ薬の有用性を調査した研究がほとんど実施されていないことが明らかになったため,今後不眠症状を伴ううつ病に対する抗うつ薬と新規睡眠薬の有用性が調査されることが望まれます.

本研究は,科学雑誌『Psychiatry and Clinical Neurosciences』に2025年2月26日に受理されました.

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