研究成果公表
2024年11月05日(火)
医学部医学科3年生 梅貝 美由紀 さん、細胞生理学講座 岡本 悠志 助教、三木 崇史 教授らの学術論文が国際誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」に掲載されました。
論文タイトル
Single-vesicle imaging reveals actin-dependent spatial restriction of vesicles at the active zone, essential for sustained transmission
著者名
Takafumi Miki, Yuji Okamoto, Miyuki Ueno-Umegai, Rio Toyofuku, Shun Hattori, Takeshi Sakaba
掲載誌
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
研究等概要
脳神経系の情報伝達は、外界の情報を受け取り、処理し、反応する素早い応答を可能にしています。この情報伝達には、神経細胞間で情報を伝える場であるシナプスでの高頻度な神経伝達物質放出が必須です。しかし、時にkHz以上で起こる高頻度な伝達物質放出がどのように起こるかは未だ不明な点が多く存在します。特に、伝達物質を内包するシナプス小胞が次々と放出される場へと動員されるメカニズムはよく分かっていませんでした。本研究では、数マイクロメートルもの小さなシナプス内に存在するシナプス小胞の動きをナノメートルレベルで観察する手法を開発し、高頻度な伝達物質放出の実現に重要なシナプス小胞の動きとその制御メカニズムを明らかにしました。
近年、アルツハイマー病やパーキンソン病の原因遺伝子がシナプス小胞の動きを阻害しシナプス機能を低下させることが示唆されており、シナプス小胞の動きと神経疾患との関連が注目されています。本研究は、1シナプス小胞の動きを高解像度で観察し、高頻度で高速なシナプス伝達の仕組みを明らかにすることで神経情報伝達への理解を深めるだけでなく、神経疾患の病態解明に向けた研究にも基礎的な知見を提供するものです。
参考URL
https://www.pnas.org/doi/abs/10.1073/pnas.2402152121