2023年12月12日（火）

器官・統合生理学講座 医学科4年 鈴木 太郎さんが東北生理談話会第55回大会において、学生口頭発表「学生奨励賞」を受賞しました。

論文タイトル

防已黄耆湯の Cl-排出機構と細胞死への影響の解明

著者名

鈴木 太郎、齊藤 遥菜、酒井 彩子、佐藤（沼田） かお理、沼田 朋大

掲載誌

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研究等概要

東北生理談話会第55回大会において、本学学部4年生、鈴木太郎さんが、学生口頭発表「学生奨励賞」を受賞しました。4年次の基礎配属における研究を配属期間後も続けることで、「防已黄耆湯の Cl-排出機構と細胞死への影響の解明」というタイトルで口頭発表を行い、研究内容、プレゼンテーション、質疑応答の内容が総合的に評価され、受賞に至りました。

本研究では、むくみを取る漢方薬の水分分泌能の機能評価により、腎上皮におけるCl-イオン流出路を発見しました。

1.研究グループ（鈴木さん（学部4年生）、齊藤さん（学部4年生）、酒井さん（技術系職員）、佐藤（沼田）助教、沼田教授）は、防已黄耆湯が腸上皮で水分分泌を引き起こすことを見つけました。

2.阻害剤を用いることにより水分分泌はクロライドチャネルを介してクロライドイオン(Cl-)を流出させることが分かりました。電気生理学的解析により、この経路はVSOR Clチャネルであることを見つけました。

3.これらの機能によって、腸の細胞から腸管内へクロライドが流出して、効率的に水の流出をもたらすことが水分分泌作用をもたらすメカニズムであることが明らかにされました。また、過剰な漢方薬の暴露はアポトーシス死を誘導することが分かりました。

これまで経験的に用いられてきた漢方薬に科学的で客観的な証拠を示すことは、多くの疾患の治療・予防法に寄与するものとして期待されます。さらに今回の研究成果から、VSOR Clイオンチャネル活性化を促す防已黄耆湯は、がん細胞に対してアポトーシス死を引き起こす治療薬としても期待できます。標的分子を見つけることで分子機能解析結果を基とした創薬の開発が期待されます。

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