お知らせ
2023年11月21日(火)
分子生化学講座 田中 正光 教授が著者となる学術論文が国際誌『Frontiers in Oncology 』に掲載されました
論文タイトル
CCDC85A is regulated by miR-224-3p and augments cancer cell resistance to endoplasmic reticulum stress
著者名
So Takahashi, Kurara Takagane, Go Itoh, Sei Kuriyama, Michinobu Umakoshi, Akiteru Goto, Kazuyoshi Yanagihara, Masakazu Yashiro, Katsunori Iijima, and Masamitsu Tanaka*
掲載誌
Frontiers in Oncology
研究等概要
腫瘍内では癌細胞と間質線維芽細胞が、エクソソームなどを介して相互に影響を及ぼしている。正常胃粘膜および胃癌組織の線維芽細胞を用いて、エクソソーム中に多く含まれるマイクロRNAの網羅解析を行い、癌組織中で発現が低下・消失するmiR-224を抽出した。MiR-224の標的分子として同定したCCDC85Aは、癌細胞の小胞体ストレス抵抗性の獲得に寄与していた。その機構としてこれまで癌における機能が不明であったCCDC85Aは、小胞体ストレスセンサー分子の活性を制御する事で、癌細胞のストレス回避と生存性を高めている事が分かった。
MiR-224は正常線維芽細胞の分泌する細胞外小胞中に含まれ、それを受け取る癌細胞のCCDC85Aを抑制する事でシスプラチンなどの抗癌剤への感受性を高めている事を明らかにした。腫瘍の進行に伴い線維芽細胞のmiR-224が低下する事は、小胞体ストレスに基く抗癌剤が効き難くなると示唆され、今後の治療効果の予測などに有用なマーカーとなると考えられる。