お知らせ
2023年09月12日(火)
分子病態学・腫瘍病態学講座 大森 泰文 教授 が著者となる学術論文が国際誌『Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Molecular Basis of Disease』に掲載されました
論文タイトル
Endocytic trafficking of connexins in cancer pathogenesis
著者名
Max Zachrisson Totland, Yasufumi Omori, Vigdis Sørensen, Kushtrim Kryeziu, Trond Aasen, Andreas Brech, Edward Leithe
掲載誌
Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Molecular Basis of Disease
研究等概要
ギャップ結合(GJ)が腫瘍の発生や進展を正に、もしくは負に制御することは従来より良く知られている。GJは隣り合う2つの細胞のそれぞれが細胞膜に発現する2組のコネキシンタンパク(Cx)6量体が会合することにより形成されるが、ヒトにおいては20以上のCx分子種が知られており、それぞれの分子種が、異なる発現制御や翻訳後修飾を受け、さらに6量体を構成する分子種の組み合わせによりGJの機能が変化することから、GJの機能制御は非常にきめ細かくなされていると言える。CxのmRNA転写制御や細胞膜への輸送機構に関しては古くから研究されているが、Cxの細胞膜からの除去や分解機構、さらにはGJとしての再利用機構は比較的新しい研究分野である。Cxは半減期が2~3時間ときわめて短いタンパク群に属していることから、Cx発現制御だけではなく、分解や再利用機構もGJの機能制御に深く関わっていることは確かである。本総説は、そのようなGJ形成後のCxの運命やその制御機構、さらにこれらの腫瘍発生や進展への関りについて、近年の研究成果を詳細に解説するとともに、これからの研究の指針を提示している。
ギャップ結合(GJ)の機能制御機構として、従来よりコネキシン(Cx)の発現制御や細胞膜への輸送に関する研究が主流となっていたが、GJ形成後の細胞膜から細胞質への移動や再利用が、より重要な制御機構なのではないかという考えが、GJ研究者コミュニティーで強くなってきた昨今、この総説はそのようなトレンドを推進する方向付けになるものと考える。
参考URL
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0925443923001783