お知らせ

2023年03月31日(金)

器官病態学講座 馬越 通信 助教が著者となる学術論文が国際誌『Scientific Reports』に掲載されました

論文タイトル

Macrophage numbers in the marginal area of sarcomas predict clinical prognosis

著者名

Michinobu Umakoshi, Akiko Nakamura, Hiroyuki Tsuchie, Zhuo Li, Yukitsugu Kudo-Asabe, Ken Miyabe, Yukinobu Ito, Makoto Yoshida, Hiroyuki Nagasawa, Kyoji Okada, Hiroshi Nanjo, Daichi Maeda, Naohisa Miyakoshi, Masamitsu Tanaka, Akiteru Goto.

掲載誌

Scientific Reports

研究等概要

軟部肉腫の治療、予後予測には、いまだ多くの課題を残している。我々は軟部肉腫の腫瘍内および腫瘍周辺マクロファージの数と臨床的予後について検討した。マクロファージについては、汎マクロファージマーカーとしてCD68の抗体を、腫瘍関連マクロファージ(tumor associated macrophage)マーカーとしてCD163, CD204の抗体を用いて免疫染色を行い、腫瘍内および腫瘍周辺部において数をカウントした。Grade2/3の軟部肉腫において、腫瘍内マクロファージ数の多い群と少ない群ではdisease free survivalに有意な差は見られなかった。一方、腫瘍周辺のマクロファージ(CD163+, CD204+)の数は、少ない群と比較し、多い群で有意にdisease free survivalが短かった。また多変量解析では、腫瘍周囲のCD163+もしくはCD204+マクロファージの多寡は、独立した予後因子であることが示された。軟部肉腫においては、腫瘍内マクロファージの数よりも腫瘍周囲マクロファージの数が、より予後を反映する可能性が考えられた。
上皮性腫瘍において、腫瘍関連マクロファージが予後と関連する報告は多くなされているが、肉腫と腫瘍関連マクロファージに関する報告は上皮性腫瘍にくらべて少なく、明らかとなっていない部分が多い。なかでも、肉腫周囲のマクロファージの数と軟部肉腫との予後を検討した例は本研究が初めてとなる。昨今の上皮性腫瘍における腫瘍微小環境分野の研究報告に比して、肉腫における腫瘍微小環境の研究報告は少なく、本研究は肉腫における腫瘍微小環境解析の新たな足がかりになるものと考えられる。

参考URL

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9870999/