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2023年02月28日(火)

精神科学講座 竹島 正浩 講師が代表著者となる学術論文が国際誌『Frontiers in Psychiatry』に掲載されました。

論文タイトル

睡眠薬の処方に対する医師の態度:アンケート調査

著者名

竹島正浩1、青木裕見2,3、家研也4、勝元榮-5 津留英智6、坪井貴嗣3、稲田健7、喜瀬守人8、渡邊衡一郎3、三島和夫1、高江洲義和3,9

掲載誌

Frontiers in Psychiatry

研究等概要

ベンゾジアゼピン受容体作動薬は安全性に関する懸念があるにも関わらず、今なお世界中で広く処方されています。近年、安全性の高い新規睡眠薬が次々と発売され、これらが医師の睡眠薬の処方行動に対して影響を及ぼしている可能性がありますが、これまで調査されていませんでした。そこで本研究は医師962名に対してアンケート調査を行い、頻回に処方する睡眠薬のクラスと、その理由について調査しました。

その結果、各クラスの睡眠薬について頻回に処方していると回答した医師はオレキシン受容体拮抗薬が最多で84.3%、ついで非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の75.4%、メラトニン受容体作動薬の57.1%、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の54.3%でした。頻回に処方する睡眠薬のクラスと理由に関して、オレキシン受容体拮抗薬を頻回に処方していると回答した医師はそうではない医師と比べて、有効性と安全性を重視していました。メラトニン受容体作動薬を頻回に処方していると回答した医師はそうではないと回答した医師と比べ、安全性を重視していました。また、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬を頻回に処方していると回答した医師はそうではないと回答した医師と比べ、有効性を重視していましたが、安全性については有意差がありませんでした。ベンゾジアゼピン系睡眠薬を頻回に処方していると回答した医師はそうではないと回答した医師と比べ、有効性を重視していましたが、安全性を重視しないことと関連していました。

本研究はほとんどの医師がオレキシン受容体拮抗薬を有効かつ安全性が高い薬剤と考えていることを示しました。また、ベンゾジアゼピン系睡眠薬や非ベンゾジアゼピン系睡眠薬については、医師は安全性に関する懸念を理解しながらも有効性を期待してやむを得ず処方している可能性が本研究より示唆されました。今後、有効性と安全性が確立された不眠症に対する認知行動療法が広く普及するとともに、安全性の高い新規催眠薬が効果を示さなかった患者の治療ストラテジーに関するエビデンスが蓄積されることが期待されます。

概要まとめ

ベンゾジアゼピン受容体作動薬を頻回に処方する医師は安全性に関する懸念を理解しながらも有効性を期待してやむを得ず処方している可能性が本研究より示唆されました。

参考画像