お知らせ
2023年02月16日(木)
胸部外科学講座 今井 一博 准教授が代表著者となる学術論文が国際誌『Cancer Science』に掲載されました。
論文タイトル
Intraoperative rapid immunohistochemistry with noncontact antibody mixing for undiagnosed pulmonary tumors
著者名
Kazuhiro Imai, Hiroshi Nanjo, Wataru Shigeeda, Tamotsu Sugai, Tomoo Ito, Yoshimasa Maniwa, Shinogu Takashima, Hajime Saito, Naoki Yanagawa, Yugo Tanaka, Takefumi Doi, Yuko Hiroshima, Kyoko Nomura, Mishie Tanino, Shinya Tanaka, Yoshihiro Minamiya, R-IHC Study Group
掲載誌
Cancer Science
研究等概要
申請者らは、スターラーなどの介在物なしに微小液滴を撹拌する革新的な技術である「電界撹拌技術」を用いて、がん診断に不可欠である免疫染色の時間短縮(Rapid-IHC; 150分から最短13分)に成功した。秋田大学、神戸大学、岩手医科大学が参加した未確診肺腫瘍患者169例を集積した多施設共同前向き観察研究において、HE染色のみでは 76.33%(原発臓器診断率85.80%、組織型診断率90.53%)であるのに対し、術中迅速診断にRapid-IHCを追加することによって、その診断精度は 88.76%(原発臓器診断率94.67%、組織型診断率91.72%)に改善した。迅速診断においては、良悪性の鑑別のみならず、原発性肺癌、転移性肺腫瘍の鑑別やその組織型の特定は術式決定に際し、極めて重要である。Rapid-IHCは術式決定の重要な補助手段となることを報告した。
電界撹拌技術は、迅速免疫染色を中心に独創的・革新的な技術開発を行い、病理診断能の向上に貢献してきた。大学での基礎研究がその製品化までこぎつける可能性を持つ本研究は、制約が多い大学研究機関の希望となる。