お知らせ
2022年06月24日(金)
産婦人科学講座 大学院 平川威夫 先生の学術論文が国際誌『Human Reproduction 』に掲載されました。
論文タイトル
Na+/K+ ATPase α1 and β3 subunits are localized to the basolateral membrane of trophectoderm cells in human blastocysts
著者名
平川威夫 後藤真由美 高橋和政 岩澤卓也 藤嶋明子 牧野健一 白澤弘光 佐藤亘 佐藤敏治 熊澤由紀代 寺田幸弘
掲載誌
Human Reproduction
研究等概要
体外受精胚移植などの不妊症治療は今春より保険導入され、さらに質の高い医療が赤ちゃんをのぞむカップルに提供されなければなりません。 体外受精したヒト胚(受精卵)はタイムラプスインキュベーターでその発育動態を連続観察され、得られる発育の挙動は着床しやすい良好胚の選別に有益な情報になると考えられていますが、その本質的な意義は不明な点が多いです。 通常の体外受精では受精後5日目くらいの胚盤胞という段階まで体外培養し子宮内に移植します。 その発育過程で胞胚腔という胚内の隙間が拡張、収縮をしますがその生理的な意義は不明です。 産婦人科の寺田幸弘教授、平川威夫大学院生のグループは当科での体外受精胚移植プログラムで妊娠、出産してくださった方々の凍結保存胚で保存期間を過ぎた余剰胚をご本人の個別同意のもと、本学倫理委員会および日本産科婦人科学会で承認された研究で使用させていただきました。 細胞の電解質の取り込みと排出に関する電解質ポンプがヒト胚盤胞の栄養膜細胞に発現し、その発現と胚盤胞の拡張運動(発育)に関連があることを世界で初めて明らかにしました。 ヒト胚の発育にかかわる実験動物では得られない貴重な情報として今後の体外受精の発展のための基盤的知見を本学より世界に発信いたしました。