⑥2019年卒業(44期生) 秋田大学医学部附属病院 整形外科 浅香康人先生
「整形外科医としての私」
2019年3月に秋田大学医学部を卒業し、今年で医師としては6年目になります。現在は秋田大学医学部附属病院で整形外科医としての研鑽を積む日々を送り、一方で社会人大学院生として研究にも励んでいます。
「整形外科」と聞くとひたすら骨折を治すようなイメージを持たれる方も多いと思いますが、実際は骨だけでなく全身の筋肉や脊髄・末梢神経など実に様々な部位の疾患を治療対象としています。そしてこれらの目に見える臓器だけではなく、目には見えない「機能」という要素も非常に重要な治療対象であることも忘れてはいけません。折れた骨や切れた筋肉を修復することは目的ではなく、あくまでも手段に過ぎません。これらを修復した上で元通りの機能を獲得することこそが最大の目的なのです。単にレントゲンに写る骨だけを見るのではなく、その向こう側にある患者さん一人一人の生活や仕事の内容、家族構成、趣味などの様々な要素にも着目し、目の前の患者さんと真摯に向き合う医師でありたいと思っています。
「ボディビルダーとしての私」
学生時代は柔道部に所属していました。そのころからトレーニングは定期的に行っていましたが、あくまでも競技力向上のための補助的なものでした。医学部6年生の最後の夏の大会を終えて柔道を引退した後もトレーニングは継続し、徐々にその目的が「強くなること」から「身体を大きくすること」に変化していきました。一生懸命やればその分だけ体に変化が現れるのが楽しくて、次第にのめり込んでいきました。やがて目標が欲しくなり、ボディビルの大会に出場するようになったのです。先日行われた秋田県ボディビル選手権大会では3連覇を達成し、東北北海道ボディビル選手権大会でも準優勝と、競技者としての実力もある程度伴ってきました。しかし決して大会の結果や自分の身体に満足することはなく、「明日、今日よりも良い身体になる」ことを目標とし、日々のトレーニングに励んでいきたいです。運動器を専門とする整形外科医として、己の肉体を鍛えることに対して妥協の念は一切ありません。
「ボディビルとは?」
ボディビルという競技の名前自体は広く知られていると思いますが、実際にその勝敗がどのように決まるかというところまでご存じの方は多くないと思います。ただ筋肉を大きく発達させればよいかというと、実はそうではありません。単純な腕の太さ比べをするのであればメジャーで上腕周径を測定し、その数値で順位を決めればよいことでしょう。しかしボディビルの大会では単に筋肉が大きい選手が勝つとは限りません。もちろん筋肥大は重要な要素の一つではありますが、ボディビルにおいては鍛えた筋肉を「美しく見せる」ことが重要になってきます。筋肉を美しく見せるためには皮膚の下にある脂肪を減らしてその輪郭を削り出す必要があり、そのためには日々の食事をしっかり管理していく必要があるのです。筋肉を大きくするためには一生懸命トレーニングを行うことも大切ですが、身体を造るために必要な材料となる栄養を適切に摂取することもトレーニングと同じくらい大切になってきます。私は医学部で学んだことがボディビルにも非常に役に立っていると考えています。例えば骨や筋肉の構造や機能については解剖学で、各種臓器の働きや栄養の利用ついては生理学で深く学ぶことができました。その他にも頭の天辺から足の先まで6年間たくさん勉強をさせていただきましたが、人体に関する知識は多ければ多いほどボディビルに有利に働くと感じています。
「今後の展望」
整形外科医としてもボディビルダーとしてもまだまだ未熟ですので、野球の大谷翔平選手のように二刀流として大成できるように日々努力を続けていきたいです。決して「二兎を追うもの」にはならぬよう、頑張ると決めたことに関しては妥協せず、納得がいくまでとことん取り組んでいきます。ボディビルに関しては全国レベルの大会でも活躍できるような選手になることが当面の目標です。私が双方で活躍することで皆様の筋肉に対する関心を高め、ゆくゆくはロコモティブシンドロームやサルコペニアといった疾患の減少に寄与出来たら大変嬉しく思います。心・技・体を兼ね備えた整形外科医を目指して頑張ります。
各種証明書の申込方法及び発行について
各種証明書(卒業・修了証明書、成績証明書等)の発行は次の方法により、発行される証明書の対象となる卒業生・修了生本人が申し込んでください。